共有

第3話 

私はスマホの電源を切ることにした。

 しかし、会議が終わった深夜、同級生からの電話がかかってきた。「広志が酔っ払って、レストランで倒れた」とのことだった。

 私は一瞬にして慌ててしまった。お腹も空いているし、疲れているのに、すぐにタクシーを呼んで向かった。

 南広志は確かにたくさん飲んでいた。私が彼に会った瞬間、身長180センチを超える彼は目を赤くして、まるでトラのように私に倒れ込んできた。

 「凛......」と彼は私の首元で囁いた。

 「私はここにいるよ」心配でたまらず、彼を抱き起こしながら言った。「さあ、帰ろう」

 しかし、その瞬間、彼は突然、私のパンツと靴の上に吐いてしまった。

 私は冷たい息を吸い込んで、もう迷わず、彼を車に押し込み、すぐに帰宅することにした。

 その時、レストランからある美しい姿が追いかけてきた。

 「彼の財布を忘れたみたい」

 私は彼女を見もせずに受け取り、感謝の言葉を言って去ろうとしたが、ドアを引かれた。

 「そうか、あなたが彼の妻なのね」

 その声には挑発的な響きがあり、私は思わず顔を上げた。

 遠くの街灯のネオンが瞬き、色とりどりの光が女性に映っていた。

 七年が経ち、彼女はますます魅力的になっていた。微かに巻いた長髪が肩に流れ、Vネックの花柄ドレスが胸元を露わにして、精緻なメイクと魅惑的な赤い唇が印象的だった。

 「詩織」私の笑顔は、きっとぎこちなく見えるだろうと思った。「久しぶりね」

 どうしてもぎこちなくなった。

 運転席のミラーで自分の顔を見た。一日働いた後、疲れ果てて憔悴し、素顔で髪が乱れ、服には吐き物がついていた。

 七年も経ったのに、彼女に会うたび、私は敗者のように感じた。

 04

 幸いにも、南広志が沈黙を破った。

 彼は少しだけ目覚めたようにも見えたが、また酔っ払っているようでもあった。私の肩に頭を乗せ、かすれた声で私の名前を呼んだ。

 「凛、凛......電話をかけるべきじゃなかった。仕事を邪魔してごめん、怒らないでくれる?」

 私は心が溶けそうになった。

 彼が何を気にしているか、私はわかっていた。

 当時、彼と付き合うことを決めたとき、周りの友人や親族はみんな反対した。彼の家庭が貧しく、ただの貧乏な男だったからだ。

 だから、南広志はここ数年、一心で努力してきた。みんなに私が彼と付き合っていることが苦痛だと思わせたくなかった。

 彼は私に仕事を辞めさせたがり、重要な場面で美しく飾り立てて出席させたがるのは、ただ自分を証明したいからだった。

 実際、最初の数年、私たちは本当に苦しかった。湿った地下室に住み、雨の日には天井から水が漏れ、赤いプラスチックの小さなバケツを使っていた。

 私たちはその滴る音の中で抱き合い、南広志は赤い目をしながら何度も私に約束した。

 「篠原凛、絶対幸せにしてあげる!」

 彼は常に私に対して罪悪感を抱いていたが、実際はそうではなかった。ポケットが空っぽだったあの時期、私は多くの人よりも幸せだった。

 彼は毎日私のために三食を作り、大雨の日に会社まで迎えに来てくれた。誰かが私をいじめたらすぐにやり返し、全力で私に尽くしてくれた。

 彼は完璧な彼氏ではなかったけれど、百円あれば全部私にくれた。硬貨一枚も自分に残さず、私を愛してくれる少年だった。

 愛し合うことは、あらゆる困難を乗り越える力を与えてくれた。

 その瞬間、タクシーの中で彼が「凛」と呼んでくれた時、ある言葉が再び私の頭の中で響いた。

 私は顔を上げ、柳詩織に真心から、そして自然な笑顔を見せて言った。「そう、私たちはもう七年間一緒にいて、仲良しよ」

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status